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パソコンショップアーク x 清水 貴裕氏のSkylake極冷OCイベントレポート

8月5日に発売されたIntel®の第6世代Core™プロセッサ“Skylake”。 その発売を記念してアークはオーバークロッカー『清水 貴裕』氏をお招きし、”Skylake”の極冷オーバークロックイベントを開催された。 本記事ではその”Skylake”の極冷オーバークロック実演や清水氏によるオーバークロック解説トークをご紹介。 果たして何処まで伸びたのか、またプロのコツは何処にあるのか。

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公開日: 2015-08-13

アークとしては珍しい店頭イベント

8月5日に発売された最新CPUであるIntel®の第6世代Core™プロセッサ。 アーク店頭ではオーバークロッカーの清水氏をお招きし、極冷OCイベントが8月8日に行われた。 ぶっちゃけ店頭イベントとは縁遠いアークではあるが、どのような内容だったのかをレビューしていきたいと思う。

使用構成

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項目 使用パーツ
CPU Intel® Core™ i7-6700K(4C8T、4.0GHz)
マザー ASUSTeK MAXIMUS VIII HERO(Z170、ATX)
ビデオカード ASUSTeK MATRIX-GTX980-P-4GD5(GTX980、4GB) SLI
電源 CoolerMaster V1200 PLATINUM(1200W、80PLUS Platinum)

イベント内容

イベントは2セッションにわたって行われた。 第1セッションではSkylakeのOCはどこが変わったのかという点を解説し技術的な話を中心に実際に極冷OCの実演。 続く第2セッションではCPUのみ極冷状態でFF14ベンチや3DMarkなどを動かしてパフォーマンスをチェック。ASUSマザーの設定のキモなども紹介するといった内容だ。

夏の強烈な日差しが襲う中でセッティング

場所は店舗横のスペースで、なかなかに日差しが強い。 なんと開始時の気温は36.9度。液体窒素冷却を行うとはいえ、通常室内の温度が26℃ぐらいであろうことを考えるととんでもない環境であろう。 事前準備では清水氏が事前にご自宅で設定を詰めてきていらっしゃったのだが、気温の違いは明確にその詰めを崩し、現場で大幅な再設定が必要な事態に。 白状するとスタッフ的には少し心配だったのだが最終的には環境に合わせてバッチリ決めていただいた。さすが日本代表!

第一セッション開始:Skylakeの特徴などから説明

まずはSkylakeの特徴などの解説が始まった。 今回のCPUは清水氏いわく
・クロックが結構上がる
・空冷で5.2Gぐらいまで行けて、Haswellに比べて非常にOCしやすい。
ということだそうだ。
これはHaswellなどではCPU内にあった電圧レギュレーターが外に出たためCPUをしっかり冷やすことができるようになったことが理由の一つである。 なので常用設定がなかなか決まらない時はCPU Stand By Voltageを上げると安定しやすいそうだ。

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また、SkyLakeで変わったところとして 『CPUとキャッシュの電圧が同じレーンになり、コアの電圧を上げるとキャッシュの一緒に上がるので発熱が増えるようになった。 なので、今までみたいにコアだけ上げるとかできない為、常用設定を求めるのがその点では難しくなってる。』 そうである。この点はOCする際に心に留めておきたい。

なんちゃって空冷で通常OCの限界値を探る

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ここからはCPUを液体窒素少なめの『なんちゃって空冷』しながらOCし、CINEBENCHを回していく。 まずは4.8GHzでCINEBENCHを軽々クリア。 SandyBridgeを使っている筆者としては結構体感できる早さの違いが見られた。 着実に性能は進化しているようで、2世代以上前のCPUを使っている人は結構早いと思えるのではないだろうか。 ちなみに『Skylakeはマルチスレッドが得意なので、マルチタスクアプリでは結構有効』だそうである。

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CIねベンチ走る瞬間に清水氏がゴニョゴニョしておまじないを掛けて 4.9GHzのCINEBENCHをクリアさせる。

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『5GHzは楽にいける。』と言いながら清水氏がツールを設定していくがツールの動きがおかしい。 何だ?となっていると、なんと外気温は40度に、、、 そりゃ挙動も乱れる。宇宙の法則も乱れる。 とは言え、ツールを再起動し難なく(?)5.0GHzを達成。

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更に5.2Gも問題なく達成。更に上を目指そうとするがここでPCがフリーズする。 別記事でもレビュして頂いているが、やはり空冷ではこの辺りが限界であろうとのこと。

ちなみに、ニコ生では音声がエコーして大変聞き苦しい状況に。 せっかく見ていただいた方には大変申し訳無い。 実は撮影しているカメラに付いているマイクのスイッチが入りっぱなしになっており、それに気がつくのが遅れたためスピーカーを切ってもエコーがかかり続ける状況に・・・。 清水様、御覧頂いたユーザーの皆様、本当に申し訳ない。

LN2モードで本気極冷開始

『なんちゃって空冷』の後はガチに極冷OCでクロックがどこまで伸びるかを探っていく。 ここからはマザーをLN2モードに。これはASUSの上位マザーボードに用意されている、極冷OC用の設定である。 LN2モードは電圧がかなり高く設定されるためいきなりスイッチを入れると非常に危険。なので液体窒素を使ってまずは温度を-50度まで下げていく。 読者の方は間違っても空冷でLN2モードにはしないように。本当に危険なので。

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-50℃になり、スイッチオン。更に冷やしていき、-145℃になったところで5GHzオーバーのCINEBENCHを回していく。 Haswellの時はCPU内にあった電圧レギュレーターが冷えに弱かったためあまり冷やせなかった。 極冷にとってはそれがネックだったが、今回はしっかり冷やせるので冷やしがいがあるそうだ。

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各クロックの結果は以下のとおり。

クロック スコア 結果
5.4GHzでのCINEBENCH 1182 通過
5.5GHzでのCINEBENCH 1206 通過
5.6GHzでのCINEBENCH 1226 通過
5.7GHzでのCINEBENCH - NG

清水氏曰く『5.5GHzでの1206というスコアはHaswellでは6G以上行かないと出ない。OCすることでSkylakeの優位性が伸びる。』 とのこと。着実に性能は進化しているということだろう。

また、5.6GHzでのCINEBENCHは実は清水氏的には通らないと読んでいたらしい。
あるテクニックを使用すれば通せるラインらしいが今回はテクニック無し。
そんな中、引っかかりながらもなんとかテストを通過。
清水氏『これはイベントパワーですね。』

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ベンチなしのOC結果は以下のとおり。

クロック 結果
6.1GHz 通過
6.2GHz 通過
6.3GHz NG

清水氏『6.3GHzはエアコンがきいた所では達成してるんですがね…。』
やはり、炎天下の中ではきついということだろう。ただでさえ暑いのにパーツに各所に黒い部分が多分にあるのだ。結構やばいことになっているあろう中、むしろよくぞここまでと言った感が強い。

第一セッションでの小ネタやコツ

Skaylakeのスプレッダ内グリス
Skylakeのスプレッダ内グリスは極冷に取ってはイマイチとのこと。
なので殻割りをしたくなるがPCBが薄くなってるので『チョット怖い・・・』らしい。

メモリの話
DDR4はDDR3に比べてチョット不安定。ROGのボードは多少の起動不良でもカバーリングしてくれるのでDDR4の高クロック品を使うときはROGがオススメ。

ちょいテク
OC時、やろうとしている設定が厳しい時はOCツールの反映ボタンを押しても反映が遅い。そういう時は一旦クロックを落としてまた上げるというのを繰り返すと行けるようになるそうだ。

マザーやVGAに液体ち窒素ぶっかけてるけど…?
VGAもマザーもコーティングしているので大丈夫。
ちなみに薄く三回がけぐらいがいいそう。

これで第一セッションは終了。
この後、休憩を挟んで第二セッション。

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あまりの暑さに液体窒素を浴びる清水氏。『大丈夫なのか!?』と思ってしまうが、結構大丈夫らしい。ただ、コツみたいなのがあるので良い子は真似しないように。

第二セッション開始:3DMarkや極冷のコツなど

時刻は14:30。
気温は43℃。
かなりいっちゃってる環境の中、第二セッションが開始された。ここではより実践的なOCについて解説していくとのこと。

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最初にお話いただいた内容は以下のとおり。

LN2モードについて
ASUSの上位モデルに付いているこの機能はVCoreが1.4ぐらいに、更にそれ以外の色々な電圧が盛々になる。極冷をしているとBIOSが飛ぶことがあるのだが、当然、設定が飛んでしまうと極端に冷えた状態では電圧がが足りずに立ち上がってこない。ところが、このLN2モードだと電圧が盛ってある状態が初期値になるので起動性が良くなるという仕組みなのだそう。

ベースクロックについて
Haswellなどはクロックジェネレーターがチップセットにあったため、ベースクロックを上げることによって CPU以外のクロックも連動して上がってしまい、ベースクロックを上げてのCPUOCは難しかった。 だが今回のCPUはクロックジェネレーターがマザー上に移ったことでCPUのみを効率的にOCできるようになった。
※80から最大500以上行くらしい。
※第一セッションの時はベースクロックを100の状態で倍率変更でOCした。

倍率について
じゃあ、実用的な部分はどこかというと、実はベースクロックを下げて倍率を上げたほうがベンチ回したときのOCが伸びる傾向にあるという。
なぜかというとロジックは不明だが、そのようにしたほうがCPUへの負担が少ないのであろうとのことである。
※第二セッションは90でOCを行っている。
※個体差もあるので、その点は考慮されたし。

クロックの上げ方
極冷でも空冷でも、クロックは徐々に上げていったほうが最終クロックは伸びやすい。欲張ってあまり一気に上げ過ぎないように。

Skylakeの電圧的特徴
今回のCPUは低電圧形なので闇雲に電圧を上げ過ぎないほうが安定しやすい。

ベースクロック低め・倍率高めで上を目指す

解説はここで一旦終了。
今回のセッションでは上述したようにベースクロックを90に設定し、実際にクロックがよく伸びるのかをチェックしていく。

CINEBENCHの通過を判定とした結果は以下のとおり。

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クロック 結果
5.4GHz 通過
5.5GHz 通過
5.6GHz 通過
5.67GHz NG

あれ…思ったより伸びていない?

実は解説中に清水氏が液体窒素の突沸を披露しようと準備されていたのだが、その過程で一気に冷やし過ぎたためにCPU以外に悪影響が出てしまったようだ。
清水氏いわく『急激な冷却はアンコア部分を中心に色々なところに悪影響が出るため、極冷OCの場合は徐々に冷やしていくのがセオリー。』とのこと。
今回は外の環境があまりに暑いため、ついガツガツ冷やしすぎてしまったようだ。

ちなみにここで発生したのはメモリーエラー。
どうもDDR4は冷えに弱いようで、極冷の場合はヒートシンクはないほうがよいらしい。

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時間的な都合により残念ながらCINEBENCHでのOC挑戦はここで断念。一旦冷え過ぎたPOTを温めていく。

3DベンチはCPUパワーでどこまでばせるのか

3Dベンチマークでの肝は当然ながらグラフィックカードに依る部分が大きいだろう。 ただ、120Hz液晶を使用していたりフルHDで中解像度でプレイしたりなどの全体に占めるグラフィックスの割合が低くなる運用をしている人にとっては当然快適度がCPUに依存する割合が増えていく。 また、CPUがそもそもボトルネックになりやすいゲームというものも存在するため、そのようなゲームをプレイする人にもCPUのOCは有効だろう。

ここではみんな大好き『3DMark Fire Strike』で実際に極冷を行いながら検証していく。

検証結果は以下のとおり
※5.6GHzの結果は清水氏ご自宅でのベンチ結果。電圧を現設定より盛っている状況だそうだ。

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クロック 結果
5.0GHz 19783
5.5GHz 20241
5.6GHz 21446

この結果だが、Skylakeでの5GHzはSundyBridgeやIvyBridge等だと5.5GHzにOCしないと対抗できるスコアにならないらしい。
OCすることでその差がどんどん開くのでOCしやすいSkylakeは「OCしてなんぼ」のような面があるのは確かだろう。

第二セッションでの小ネタやコツ

NVIDIAのグラフィックスについて
最近のNVIDIA VGAは温度や消費電力が上がるとダウンクロックされる。
回避方法はユーティリティーで『Power And Temperature target』のつまみを振り切るとダウンクロックしなくなる。

OCの限界付近
OC限界周りは内部でエラーが多いなどの理由でスコア効率が落ちるとのこと。
そうなった時に電圧に余裕があればもう少し電圧掛けて上をねらうか
そうでない時はクロックを少し下げてスコア効率を上げるとよいとのこと。

清水氏のオススメPOT
KINGPINcooling venom

清水氏のオススメ電源
COOLERMASTER V1200 Platinum

清水氏のオススメマザー
ASUS Maximus VIII HERO(2015.08.08時点では未発売)

清水氏のオススメグリス
Thermal Grizzly Kryonaut
Thermal Grizzly Hydronaut

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久々にOCしがいのあるCPUが登場か

以上、当日の模様を紹介してきたわけだが非常にOCしがいのあるCPUであるとの印象を受けた。
さすがに極冷OCはそうやすやすと挑戦できるものではないが、しっかりとした水冷でOC運用は十二分にありだろう。IPCの向上幅も上昇するのでシングルタスク性能がモノを言うタイプのゲームはもちろん、最新のマルチタスク対応ゲームまでその恩恵は及ぶと思われる。

また今月頭にWindows10が発売されたばかりだが、ゲームプレイの録画機能がOSに統合されていたりと なんだかんだパワーがあればあるだけ快適になるだろう機能が多く追加されている。
正直Haswellを持っている方は待ちでもいいのかなと思うが、ゲーマーでそれ以前のCPU持ちの人はOSと合わせて積極的に最新世代品に更新するに値するのではないだろうか。(2015年8月現在、非常に品薄なのが悔やまれる。)

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