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「DRAM相場反転、ただしそれ以上の円高で結果は?」PCメモリー価格動向ピックアップレポート - 2015年8月4週目版

2015年8月4週目のパソコン用メモリーの価格変動レポート。パソコンSHOPアークのデータを元に注目情報や注目メモリーをピックアップ。今週はDDR4 8GBモジュールタイプ採用製品が極端な品薄に、代わりに16GBモジュールの価格がついに8GB x2枚分相当まで下がりプレミア解除となった、DDR3はDRAM相場が反転基調を継続しエンドユーザー向け相場は反転するかに思われたが為替が突然の大幅円高方向へ進んだ事により価格は・・・。今週のデータと市況を元にレポートをまとめてみた。

ビュー: 3536
公開日: 2015-08-29

メモリー相場変動TOPIC

  • サンプリング日:2015/8/27
  • 前回更新(比較)日:2015/8/19

  • サンプリングアイテム数:7437アイテム(前回比+8アイテム)
  • 今週の値下がりアイテム数:1375アイテム(前回比+280アイテム)
  • 今週の値上げリアイテム数:116アイテム(前回比-20アイテム)

  • 今週のアイテム総合平均値動き幅:-153円(前回平均+59円)

  • 今週の値下げアイテムの平均値下がり金額:-929円(前回平均-660円)

  • 今週の値上げアイテムの平均値上がり金額:+567円(前回平均+143円)

総合平均 過去2ヶ月推移

8月 対象Item数 総合平均値動き幅
8月4週 7437 -153円
8月3週 7429 +59円
8月2週 7429 -10円
8月1週 7353 -94円
7月 対象Item数 総合平均値動き幅
7月5週 7316 -136円
7月4週 7289 -45円
7月3週 7273 -177円
7月2週 7271 -217円

ざっくりいうと円高への為替変動がDDR3 DRAM単価の値上げを上回り結果的に値下げアイテム、値下げ幅、共に増加した。

値下がり内訳として割合を占めたのは引き続きDDR4の大容量モデルである事、またサンマックスのDDR3モデルなどが価格を後追いをした事が要因だった。

ただし値上げアイテムの値上げ率も大きく上昇している事にも留意したい、これは仮に来週の為替が2週間前の円安水準に戻った場合、DDR3カテゴリは全体的に上げ方向に向かう可能性があるという事だ。

ポイント

最安値系の売れ筋だけ見た場合、数値以上に下げ止まり感を感じるマーケットとなった。

上記のポイントのサンプルアイテムとして今回は最安値系定番アイテムの一つTEAM ELITEシリーズの売れ筋DDR3-1600 8GBx2枚組キットの価格動向を追ってみた。

チームのスタンダードモデル、エリートシリーズ、PC3-12800 CL11 1.5Voltと標準的なDDR3 1600MHzタイプの8GBモジュールを2枚組にしたデュアルチャンネルキットです
取扱終了
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売価 変動幅 変動率
8月26日 11270円 0円 0%
8月18日 11270円 -10円 -0.09%
8月12日 11280円 0円 0%
8月05日 11280円 -1000円 -8.14%
7月28日 12280円 0円 0%
7月22日 12280円 0円 0%
7月15日 12280円 -100円 -0.81%
7月7日 12380円 -200円 -1.59%

7月~8月末(2ヶ月間)の価格推移 -1310円

5月~6月末(2ヶ月間)の価格推移 -1840円

3月~4月末(2ヶ月間)の価格推移 0円


上記から8月頭に大きく値を下げて以降、殆ど変化していないのが判る、DDR3のDRAM相場が落ち着いている今、通常価格※で大台の1万円を割り込むには為替(円高)の力を借りる必要がありそうだ。

※秋葉原実店舗では条件つき(日付け本数限定、限定特価系)で一万円を割り込んでいるケースをみかける。 手放しで特価を入手できるとは限らないが気が向いたときにアキバ散策をしてみるのもおもしろいかも知れない。

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品薄のDDR4 8GBモジュールベースモデルは9月上旬~納期改善の見込み?

DDR4のDRAM価格はDRAMeXchange上では下げトレンドが継続中となっているが、実際は全て最下限価格で取引されているわけではく、メーカーによってはDRAMを入荷待ちするケースも出てきているようだ。

それでもDDR4は各社生産中なので現在得ている情報どおりであれば9月上旬から中旬には現状品薄の8GBモジュールベースの製品の納期状況も回復されそうだ。

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ただしOCメモリ系、特に高クロック選別品は入荷したDRAMのOC耐性がどれ程なのか(つまり当たり外れ※)という結果次第となる為、もし現在製造、もしくは新たに納入されるDRAMの耐性次第では超高クロック品などのプレミアレベルのアイテムの納期の回復にはもう少し時間がかかる可能性がある。

※当り外れはあくまでもOC耐性(出荷されているDRAMスペック以上の性能部分)を基準とした場合であり、製品自体は当然基本スペックを満たしている。

DDR4 16GBモジュールが8GBモジュールx2枚組相当価格に追い付く

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いわゆるビットクロスと言われている話になるが、DDR4において4Gbit DRAM(現行メイン)と8Gbit DRAM(次期メイン)のビットクロスは2015年の第一四半期の時点では2016年前半と想定されていた、しかし想定よりも早くビットクロスが実現する事となった。

ただしまだ一部のモデルに限定されており、本格的なビットクロスはもう少し先になりそうだがとにかく市場価格においてビットクロスが成立したのは注目ポイントである事は間違いない、そこで今回はその一例を紹介したい。※

下記の32GBモデルは8GBモジュールを4枚組で構成した従来の一般的なモデル。

製品名:CMK32GX4M4A2666C16 2015年8月29日現在価格:税込38710円

クーラーに干渉しにくいロープロファイルタイプのVengeance LPXスプレッタ採用 DDR4-21300 (2666MHz)に対応した288pin DDR4対応 32GB(8GBx4枚組)kit
CMK32GX4M4A2666C16
税込価格: 14,514円

送料無料

限定特価

在庫限り

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対して下記のモデルは32GBである事は変わりないが16GBモジュールの2枚組で構成されてた次世代容量クラスのモジュールだ。

製品名:CMK32GX4M2A2666C16 2015年8月29日現在価格:税込38590円

Skylake向け PC4-21300 (DDR4-2666MHz) CL16 16GBモジュールを2枚1組にした32GBメモリキット。クーラーに干渉しにくいロープロファイルタイプのVengeance LPXスプレッタ採用モデル。
CMK32GX4M2A2666C16
税込価格: 13,048円

送料無料

超特価

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※この記事は2015年8月29日現在の価格を元に書かれており、下記のアイテムの価格は常に最新の価格となる為、現状ではビットクロスが成立していない場合がある。

ただし早すぎるビットクロスはすべてにおいて歓迎できる訳ではない。

主な例としてOCメモリ(選別、超選別)にとってのビットクロスはデメリットに成りうる事がある、理由としては通例、DRAMのOC耐性が最も向上するのはBダイ(2世代目)となる場合が多く、現在の各社Aダイ(第一世代)の8Gbit DRAMは洗礼された現行の4Gbit DRAM(Bダイ、もしくはAダイの調整系)に比べチューニングが甘くOC耐性だけで見た場合、劣ってしまう事が多く結果的に高クロック選別むけのメモリとしてすぐに切り替えが出来ないといったケースもある。

ビットクロスについての関連記事

ピックアップデータ

今週サンマックス製DDR3/DDR3主力製品の大幅価格改定が行なわれた、特にMicron DRAM搭載製品の下げ幅が大きくインパクトがあったのでピックアップしてみた。

サンマックス製 デスクトップ用 240Pin Micron搭載DDR3メモリー(8/29現在)

Model 容量(構成) 税込売価 変動幅 変動率
SMD-16G28CP-16K-D DDR3-1600 16GB (8x2) 12780 -2210 -15%
SMD-16G28CP-16KL-D DDR3L-1600 16GB (8x2) 12990 -2790 -18%
SMD-32G28CP-16K-Q DDR3-1600 32GB (8x4) 25780 -3219 -11%
SMD-32G28CP-16KL-Q DDR3L-1600 32GB (8x4) 25980 -4000 -13%
DDR3L 1600MHz Micron DRAMをJEDEC準拠の基板に搭載した安定構成の1.35Volt 8GBモジュール2枚組デュアルチャンネルセット
取扱終了
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デスクトップ用MicronネイティブDDR3 1600MHz DRAMを搭載したJEDEC準拠タイプ、8GBモジュール4枚組の32GBクアッドチャンネルセット
取扱終了
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サンマックス製ノート用 204Pin Micron搭載DDR3メモリー(8/29現在)

Model 容量(構成) 税込売価 変動幅 変動率
SMD-N8G28CP-16K-D DDR3-1600 8GB (4x2) 6890 -890 -11%
SMD-N8G28CP-16KL-D DDR3L-1600 8GB (4x2) 6990 -600 -8%
SMD-N16G28CP-16K-D DDR3-1600 16GB (8x2) 13380 -1400 -9%
SMD-N16G28CP-16KL-D DDR3L-1600 16GB (8x2) 13780 -1290 -8%
第3~6※世代intel Core iシリーズ対応モデル低電圧1.35Volt DDR3L-1600 Micron 4Gbit DRAM採用ノート用8GBモジュールx2枚組みセット。
取扱終了
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今後の注目ポイント

現状見えている価格変動に関連する要素


  • OC系DDR4上位モデル、特に8GBモジュールベースが完全に枯渇(需要増加?)
  • 上記以前にDDR4 8GBモジュールは全体的に品薄(需要増加?)
  • DDR4 16GBモジュールが8GBモジュール2枚分相当の価格に追い付く(8Gbit DRAM 供給増加)
  • DRAMeXchangeのDDR4系DRAM価格微下げ(安定供給、供給増加?)
  • DRAMeXchangeのDDR3系DRAM価格反転傾向(需要増加)
  • 為替が円高方面へ(値下げ方向へ)

まとめ

今週のポイントとしてはDDR3は価格アップの要素、DDR4は価格ダウンの要素(ただしDDR4はモジュール化されたものが品薄で入荷せず反映されなかった)を基本として為替(円高)の影響により結果としては全体的にはDDR3はステイ or 下げ、DDR4は下げ or 入荷せずという結果となった。

DDR3詳細

DDR3に関してはここまで相場を先導してきたCorsair、Crucial、G.Skillなどのメーカーは即座に対応、値上げへ舵を取ったが実際の市場価格では円高に動いた為替分と相殺してステイ、むしろ値下げ基調となった。

また価格安定系のメーカー、ブランドは遅れて価格を引き下げてきているので来週以降為替が仮に落ち着いた場合でも価格反転一辺倒という訳ではなく、暫くこのステージをベースにした価格の上下変動が続くのではないかと思われる。

DDR4詳細

DDR4に関してはDRAMの下げ要素+為替の下げ要素で値下がりを継続しているが確実に需要が上がってきている為、今後は価格の下落速度にブレーキがかかる可能性が出てきた。

また今週は現在最も量産されている4Gbit DRAM採用製品と今後量産されていく予定の8Gbit DRAM採用製品の同容量比較での価格が一部のブランド比較ではあるがほぼ並んだ事にも注目したい。 今まではプレミア(割高)だったため、大容量が必須な一部のユーザー以外のみ、16GBモジュールは非一般的なラインナップとして扱われる傾向だった。

しかし今回価格が並んだ事よりSkylakeはデュアルチャンネルで32GB実装を割高感なく実現する事が可能となり、今後は片面実装の8GBモジュールの登場、それによる更なるコストダウンも期待させる通常ユーザー注目の存在にクラスアップした事は間違いなさそうだ。

DDR4はエンドユーザー向けやBTO、ホワイトボックスなどのいわゆる「PC DIY市場」的にはSkylake一色となり盛り上がっているが、世界的に見るとPC大手メーカーはまだDDR4採用モデルをほぼリリースしておらず、これから秋にかけて本格的にリリースされ始めたときに価格が反転する可能性があると予測できる。

9月の動向予測

8月になりDRAM単品は下げながらもその下げ幅は縮小してきている、この流れから9月はDRAMの価格推移より為替変動による影響が大きくなる可能性が高いと予測される。

主な理由としてはDRAMはメモリモジュールを構成する上でコスト比率の大半を占めてはいるが、それ以外のガーバー(基板、コンデンサ、抵抗)や検査コストなどが別にかかってくるが為替は製品の価格に直接影響する事から現状のマーケットの価格推移の場合は為替による影響が高い可能性があるという事になる、ただし為替が安定して推移した場合はその限りではない。

ただし例外としてDDR4の4Gbitと8Gbit DRAMのビットクロスが本格化すればDDR4の大容量モデルは為替とは関係なく引き続き大きく価格を下げていく可能性がある。

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関連情報

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TEXT: Ark Tech & Marketニュース 編集部 石井克朋

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ライター

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編集部 アーク石井

パソコンSHOPアークにてPC用メモリーバイヤー兼、管理職も勤める。 スキーとギターをこよなく愛す。アキバ歴23年を活かしたショップ視点でのメモリー関連の記事を主に担当している。