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値上がり中のパソコン用DDR4メモリーモジュール、クリスマス商戦で品薄も加速

昨年のサムスン電子V-NAND製造工場トラブル発生以降出荷調整や需要増によりジワジワと長期的に値上がりが続くDRAMマーケットだが、ここに来て、海外クリスマス商戦向け調達が重なった事で品薄状況が加速。 受注過多による受注停止や、納期の悪化など品不足による影響が深刻化。

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公開日: 2017-09-28 (更新 2017-10-18)
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値上げ以上に品不足が深刻化する2017年下半期のPC向けメモリーマーケット

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2016年の夏以降1年以上コンスタントに値上がりが続くパソコン向けメモリーマーケット、9月後半に入り反転する所かいよいよ調達にも影響が出始めている。

基本的にパソコン用メモリーはDRAMと基板、コンデンサーや抵抗、SPDなどの部品を組み合わせてモジュール化した物で、その中の主要部品であるDRAMがパソコン用メモリー(スタンダードタイプ)コストの9割以上を占めている。

そのDRAMは需給バランスにより株の様に大きく価格が変動する事が知られているが、昨年の6月のSamsung工場のトラブル以降1年以上、上昇を続けているのは前例にあまりない事だ。

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通例であればそろそろ値下げに転じるであろうと思われる中、受注が想定以上に増加してしまいついには品不足状態に突入している事が各メモリーモジュール製造メーカーからの連絡で明らかになってきている。

出荷調整に加え、海外クリスマス商戦向け調達の影響か

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以下は主要メモリーモジュールメーカー(DDR4)の10月18日(水)現在の状況


  • キングストン:発注量制限有、納期は通常の2~4倍、価格は相場なりに上昇中
  • コルセア:納期再び悪化、DDR4全般の受注を停止、価格は上昇
  • G.Skill:納期引き続き悪化、価格も上昇中、TridentRGBのみ受注受付、納期は6~8週間以上
  • チーム:ラインナップを絞りつつ納期は応相談レベルだが価格はさらに高騰
  • ゲイル:ほぼ受注不可、価格は時価といわれ値が付かない
  • クルーシャル:受注を一旦停止、価格は急上昇中、発注分についても納期が見えなくなってきている

主に品薄となっているのは「DDR4 DRAM」で現行最新のパソコンの8割以上が採用する主力製品。

上記以外のメーカーにも不足分を調達しなければならないシステムハウスやホワイトボックス系メーカーから受注が増加しているとの事。

要因としては恒例の「海外クリスマス商戦向けの仕入れタイミング」でる事は明白だが、それ以外にも2017年7月に発生したイノテラDRAM工場での事故や、需給バランスをコントロールする事で利益が得られる投機を目的とした購買やDRAMメーカー自身の収益向上の為の出荷調整など複合的な要因も重なった事が単に「値上げ」だけでなく「品不足」な状況に結びついているものと想定される。

納期が安定するまでは強気なメーカー、今年のメモリー調達は早めが得策か

クリスマス商戦向けの受注が落ち着けば価格は安定していくと思われるが、9月末時点で納期が1~2ヶ月まで遅延している現状からみて、12月の価格が安くなっている可能性はかなり低いと言わざるを得ない。 残る価格変動要素は為替だが、これも円安に向かった場合、火に油を注ぐ状態になり得る諸刃の剣だ。

新プラットフォームが続々と登場し近年まれに見ぬ盛り上がりを見せる2017年のPC自作市場だがメーカーやショップ同士の価格競争で価格は徐々に下がっていくのが通例、しかしメモリーのみは例外と考え、年内から旧正月までのPC構築を考えている場合、あくまでも現状を見ての話しだがAKIBAや国内EC売価を見る限り値上がってきているが、まだ十分割安なので早めの調達を計画してみるのも今年に限ってはアリなのかもしれない。

メモリー購入の際、在庫なし(取り寄せ・受発注)の場合、納期には十分留意することをお勧めしたい。

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ライター

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編集部 アーク石井

パソコンSHOPアークにてPC用メモリーバイヤー兼、管理職も勤める。 スキーとギターをこよなく愛す。アキバ歴23年を活かしたショップ視点でのメモリー関連の記事を主に担当している。