image

TLC NAND採用SSD SKhynix Canvas SL300 「 HFS250G32TND-3112A 」 クイックレビュー

SSD製造メーカー各社が2015年秋冬の主力モデルにTLC NANDを採用したモデルを投入してきた、その中から今回アーク編集部では汎用DRAMからグラフィックカード向けのメモリ、最近ではフラッシュ系にも注力し着実にシェアを伸ばしつつある「SKhynix」社のSL300シリーズのうちの一つ、SL301 250GBモデルにあたるHFS250G32TND-3112Aをピックアップ、ライバル製品との比較や簡易的に検証してみた。

ビュー: 15061
公開日: 2015-11-29
関連タグ:

話題のTLC NAND採用SSD

image

NVMe接続の登場などで2015年も圧倒的な速度向上を続け話題の多いSSDカテゴリ、しかし今回紹介する「HFS250G32TND-3112A」はSKhynix社のバリューラインSSDだ。

この製品は同社「SL300」シリーズの2.5インチSATA接続タイプ「SL301」の250GBモデルにあたり、今年のもうひとつの話題TLC NANDを採用しているのが特徴だ。

TLCはMLCより1つのセルにより多くのデータを記録する事が可能な為、容量当りの単価が安くなる、つまり製品価格を下げる事が出来る。

ただしMLC登場時にも言われていた記録方式の違いによりSLCより短命、かつ速度も低下するという課題点がMLCからTLCになる際にも当然あった。

2015年後半、その「TLC NAND」を採用した製品が各社主力バリューモデルにラインナップされ「MLC NAND」との世代交代が始まっており注目を集めている

速度、耐久性などの課題はクリア出来ているのか?

その実力をざっくりではあるが検証し製品としての総合的なポイントをレポートしてみる。

この製品の主な仕様などは下記の発売時ニュースを参照してほしい。

そもそも「TLC」とは?「MLC」との違いなど

image

「SLC」、「MLC」、「TLC」はSSDがデータを格納するNAND型フラッシュメモリへの記録方式、ざっくりいうとSLCは1つのセルに1bit、MLCは2bit、TLCは3bitのデータを記録する。

しかし筆者的にはTLCという言葉が出てきたときに少々違和感があった、いや厳密に言えばMLCに対してかもしれない。

理由としてはTLCも言ってしまえばMLC(Multi Level Cell)の分類に属し、今MLCと呼ばれているNANDとの違いは記録単位が2bitか3bitの差だけだからだ。

つまり正確に表現するなら「2bit MLC」と「3bit MLC」という事になる。

では何故、MLCとTLCという区分になってしまったかと言えば、既にお解かりかと思うが複数を意味する「Multi」 Level Cell(MLC)という言葉がそのまま「2bit MLC」方式の製品として定着してしまい、その後「3bit MLC」が出た時にMLCだけでは区別が出来ない、3bit MLCとMLCでは判り難い状況となった為、「Triple Level Cell」つまりTLCと呼称される事となったようだ。

様々な呼ばれかたをする記録方式をまとめると以下のようになる。

  • 4値2bitを記録する方式 2bit MLC = MLC(Multi Level Cell) = MLC-2
  • 8値3bitを記録する方式 3bit MLC = TLC(Triple Level Cell) = MLC-3
  • 2値1bitを記録する方式 SLC = SLC(Single Level Cell)

上記のような事からSamsungなど一部のメーカーはTLCを3bit MLCと明記している場合もある。

TLC NAND採用のSSD性能はいかに!?

image

さっそくではあるが検証結果を紹介していきたいと思う。

今回の検証に用いたソフトウェアは定番の「CrystalDiskMark 3.0.4」「CrystalDiskMark 5.0.3」の2つだ。

テスト環境

  • CPU Intel Core i7 4790K 4.8GHz(Overclocked)
  • M/B ASUS MAXIMUS VII HERO
  • RAM Corsair DDR3-1333 2GB×4
  • VGA GEFORCE GTX580
  • PSU SILVERSTONE SST-ST85F-P 850W
  • OS Windows 7 Professional 64bit SP1
image

「CrystalDiskMark 3.0.4」「CrystalDiskMark 5.0.3」2つのベンチマークにおいてシーケンシャルリード(公称値 540MB/s)、ライト(公称値 470MB/s)共に公称値を上回った。

公称値は次のライバル製品比較データの比較表に記載してあるので確認してみてほしい。

上記の結果を簡潔に説明すると、「Seq」が1つのファイルへのアクセス速度、512Kと4KがソフトウェアやOSの起動速度に影響する値である。 補足として4K QD32はNCQという機能で4Kのアクセス速度を改善した値であり、このSSDはNCQに対応しているため大きな値となっている。

ライバル製品比較データ

当編集部ではまだレビューを始めたばかりという事もあり自前の比較対象データがなく、今回は外部レビューの実測データを参照しつつ差を比べて頂ければ幸いだ。

image

ライバルとなるであろう定番のTLC NAND搭載モデル

  • Crucial「BX200」
  • SanDisk「Ultra II」
  • Samsung「850 EVO」

上記のスペックを公称値ではあるが以下に表でまとめてみた。パフォーマンス部分では各社接戦状態となっている。

製品名 SL301 BX200 UltraII 850Evo
容量 250GB 250GB 240GB 250GB
方式 TLC TLC TLC 3bit MLC(TLC)
NAND SKhynix 16nm Micron 16nm SanDisk 19nm Samsung 3D V-NAND
コントローラ SKhynix SiliconMotion Marvell MGX
キャッシュ 非公開 非公開 nCache 2.0(512MB) 512MB
連続読出 540MB/s 540MB/s 550MB/s 540MB/s
連続書込 470MB/s 490MB/s 500MB/s 520MB/s
ランダム読出 95000IOPS 66000IOPS 91000IOPS 97000IOPS
ランダム書込 85000IOPS 78000IOPS 83000IOPS 88000IOPS
Active時消費電力 最大3.0W 最大3.3W 最大4.4W
寿命 120万時間 150万時間 175万時間 150万時間
保証期間 3年間 3年間 3年間 5年間 or 75TBW

比較対象製品のレビュー情報

これらのモデルと比較してもらえれば判るが遜色ない、むしろ大きく差をつけてリード・ライトともに勝っているモデルもありパフォーマンス面は想定より良い結果となった。

また、SKhynixの同Canvas SSDシリーズではMLC型フラッシュメモリ採用のSC300シリーズがある。

image

上記サイトの結果は128GBのものではあるが、参考になる部分も多いので是非チェックしてみてほしい。

まとめ

パフォーマンス

パフォーマンスは後継にふさわしくなかなかの能力、むしろ向上している

  • MLC NAND採用SSDと比べて

今回の「SL301」は同社MLC NAND採用の主力バリューモデル「SC301」の後継モデルとして設計され、きっちりとパフォーマンス部分を向上してきている。

ただしすべてのTLC NANDタイプのSSDがその限りではない、TLCがMLCより単純に優れている訳ではなく実装コントローラーやキャッシュなど製品単位でのスペックチェックは購入前にしておきたい。

  • 他社同クラスTLC NANDライバル製品と比べても

このSSDの大きな特徴としては2015/11/26現在の価格帯でライバルSSDより群を抜いて安いのが印象的である。 また、価格が安いことも然ることながら、パフォーマンスもライバル機種の中でも上位クラスである事は間違いない。

つまりバリューモデルとしてパフォーマンス部分で見た場合SL301 250GBは「アリ」な製品だ。

信頼性、耐久性

信頼性においては各社TLC NANDを主力クラスのSSDに採用するの初の試みであるケースが殆どであり、同社もTLC NANDのSSDへの採用からはまだ浅く信頼性、耐久性に未知な部分がある事は確かだ。

ただしTLC NANDの記録方式、特性上のデメリット部分は製造しているメーカー自身が一番承知しており、日頃から研究、開発による品質・耐久性・速度の向上が図られ進化してきている。

SL301 250GBモデルに付加されている3年のメーカー保証とベンチマークの結果からも総合的にみてMLCに置き換わるレベルに達していると考えてよいだろう。

ただしストレージメーカーが用途毎に耐久性や信頼性作り分け差別化してきている現状を踏まえると、ヘビーユースクラスのドライブアクセスを前提として使用する場合や、安全性を最重要視するのであれば信頼性、耐久性をセールスポイントにしたSSDを選択する方が良い。

結論としては

  • 実耐久性、寿命については時間の経過による実績が必要となる為、同社TLC NAND第1世代SSDとしては未知な要素が残る。

ただ少なくとも保証期間や書込み保証上限内においてはコンシューマユースでは十分な耐久性、品質レベルを確保した上での製品化はしていると考えれば、より低コストでバランスの良いユーザーエクスペリエンスの向上を得られるこの製品は十分アリなSSDではないだろうか。

PC用メモリーで有名なSKhynix社が手掛けるスタンダード SSD CANVAS ( キャンバス ) SL300シリーズ250GBモデル
取扱終了
詳しく見る

バリエーションモデルとして500GBタイプもラインナップされている

PC用メモリーで有名なSKhynix社が手掛けるスタンダード SSD 500GBモデル
取扱終了
詳しく見る

関連記事

ライター

戸沼 三笠

アークの新スタッフ、小学生時代から自作経験がありスキルはベテラン級、理論派ながらも実検証は怠らない若手実力派自作er