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次世代デスクトップPC向けDDR5メモリーがアキバのショップに登場、先行展示を開始

2021年7月3日(金)より秋葉原のパソコンSHOPアークにて次世代デスクトップPC向けDDR5メモリーモジュールの先行展示が行われている。 展示されているのはTeam製のDDR5-4800 16GBモジュール2枚組キット「TED532G4800C40DC01」でMicron DRAMが実装されたJEDECスタンダードスペック。

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公開日: 2021-07-04 (更新 2022-01-24)
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次世代デスクトップPC向けDDR5メモリーがアキバに登場、まずは展示から。

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2021年7月3日(金)秋葉原のとある小規模パソコン専門店に突如2022年登場と予測されていた次世代アーキテクチャを採用するDDR5 SDRAMを実装したデスクトップ向けメモリーモジュールの展示が開始され話題となっている。

お店のポップでは細かく情報を記載する事が難しかったので補足的な意味も込め、本記事を執筆してみた。

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展示を開始したのはアキバ電気街の端っこ、銀座線の末広町駅に程近い裏通りにあるパソコンSHOPアークで、展示されているのはTeamのJEDECスタンダード仕様をうたう標準グレード「ELITE」シリーズのDDR5-4800 CL40-40-40 1.1Volt SPD 16GBモジュール2枚組キット「TED532G4800C40DC01」で今回のサンプル品にはMicron DRAMの刻印がローカライズされずそのまま実装されている。

7月4日現在、対応マザーボード、プロセッサーは未発表

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いまさらDDR5?、グラボはもうGDDR6Xだぜ?と思われる方も多いかもしれないがデスクトップPC用メモリーは2021年7月現在、Skylake(第6世代Coreプロセッサー)以来6年ほどDDR4が主流(そもそもGDDRは設計から仕様まで異なり単にDDR+数字で比較せずここは別物と考えて欲しい)となっており、かつDDR5に対応したプラットフォームは未だ発売されておらず、メモリーだけ先走ってしまった状態である事を前提状況として記載しておきたい。

とはいえ、サンプルとはいえ、動作する状態の製品が入荷してきたことには変わりがなく、このDDR5メモリーが活躍する日はそう遠くない事が伺える。

単なるバージョンアップに留まらない、7年越しのメジャーアップデートが施されたDDR5

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写真上が288Pin DDR4 LongDIMM(従来品)、下は288Pin DDR5 16GB LongDIMM、サイズはほぼ同じだが切り掛けの位置が異なる。 またDD5 SDRAMの場合ECCはオンダイ実装なのでnon ECCと変わらず16Gbit DRAMで1Rank 8チップ構成で収まっている。

今回展示されているDDR5 SDRAMを搭載した次世代デスクトップPC向けメモリーモジュールは見た目こそ従来と似ているがアーキテクチャは大きく機能追加、変更が施されている。

主なポイントは

  • Pin数は変わらず288Pin、ただし切り掛けの位置が変わっているので間違えて刺さる事はない(はず…)
  • Data Rate(帯域)が2倍に(JEDECレンジDDR4 1600~3200MTSからDDR5 3200~6400MTSへ、その分Latencyも倍に)
  • メモリバンク数2倍(最大32バンク)で最大128GBモジュールまで製造可能
  • バースト長も2倍
  • PMIC(Power Management IC)をDIMMに実装し電圧コントロールをメモリー自体が行う事に。
  • 動作電圧がDDR4の1.2VoltからDDR5は1.1Voltに低減(XMPの昇圧系選別OCモデルが出てきたらその限りではない)
  • XMPはDDR5対応として2.0⇒3.0へ。
  • On-die ECCの採用(肥大化したDRAM内部データ転送のエラー対策としてDRAM内部転送用にECC機能を実装)※1
  • 新リフレッシュコマンド(Samebank)採用

と、端的に言えば色々2倍になっており、具体的にはDDR4とDDR5の同一クロック比で帯域幅は約36%向上。これを現行品のDDR4-3200と発売予定のDDR5-4800で比べると約1.87倍(DDR5-6400到達時で2倍)の高速化が実現される事になる、あくまでもメモリ周りのみの理論値だが。

【2021年10月24日加筆修正】※1 こちらに記述したECCはあくまでもDRAM内部転送部分の機能のみとなり、従来のモジュールIO部分にかかるECC機能とは別の仕組みとなります。従来のECC対応メモリモジュールはワークステーション向けとして2022年に288Pin DDR5 U-DIMM ECCとして従来通りDRAMを追加する形で発売が予定されており、今回登場するデスクトップ用は規格上、288Pin DDR5 U-DIMM non-ECC(ECC無し・非搭載)として正規化、決定されております。 初回掲載時に誤解を与える説明となりお詫びして訂正いたします。 またオンダイECCについても現在Micron社製DDR5 DRAMのみが仕様書にて記載されておりますが、Samsung製、SKhynix製DDR5 DRAMへの実装については仕様書に記載されておらず現在確認中となります。

[2022-1-24 追記]Samsung、SKhynixもDDR5の仕様通りオンダイECCの搭載を確認。

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真ん中は新たに実装されたPMIC(電圧レギュレータ)
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ECCをオンダイ化したDDR5 SDRAM、今回採用されていたのはMicron D8BNJ

ちなみに、デスクトップ向けDDR3からDDR4メモリーへの移行においてはピン数、帯域とレーテンシ、速度、動作電圧以外大きな変更はなくある意味マイナーチェンジ的な感じだったのでDDR5には技術面で大きな期待を寄せていると事。(アークメモリー担当談)

量産版登場は2021秋前後の見込み

気になる量産版は現在まだ不透明な要素も多いが、7月上旬時点では、恐らく2021年秋~冬頃になりそうとの事。 といっても対応マザーボードが出てこなければ無用の長物で、そのあたりに合わせてアキバの街にもそれなりに出回るハズ・・とのことなのでその時になれば自然と情報が増え、目にとまるハズなので今はまだ気にする必要は無いかもしれない。

アークメモリー担当曰く 「DDR5メモリーが活かせるタイミングにある程度ラインアップしてご提供出来る様引き続き準備を進めていきます。」との事なのでテックニュース編集部としても引き続き留意しなにかアップデートがあれば追って記事にてお知らせしていきたい。

ただしアキバだけにマスプロの進捗具合では先行販売的なモノがそこまでの間に行われる可能性は否めない。

量産品販売時の価格予測

現在情報で出ている参考価格はあくまで「とあるメーカー」のES品、評価版としてのサンプル価格で、実際に出回る頃の予測としてJEDECスタンダードタイプであればその頃のDDR4価格より2~3割高程度に収まるのではないかとの事。

つまり現状で言えば特価などの特殊条件は加味せず通常価格ベースでDDR4-3200 U-DIMM non-ECC 8GBモジュールが6000円とした場合、DDR5-4800 U-DIMM non-ECC 8GBモジュールは7500円~8500円、つまり16GBデュアルチャンネルキットで15000円~17000円、32GBデュアルチャンネルキットで少し割安に見て28000円~33000円辺りとアークメモリー担当的に予測している、が、半導体の価格は流動的なのでその時になってみないと何とも言えず、あくまでも現時点での売価予測(税込)として捉えて欲しい。

まとめ

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DDR5は単に買い替え促進の規格更新ではなく、大幅にアーキテクチャを見直した魅惑の新テクノロジー満載の次世代メモリーモジュール。

ただしあまりにも大きい更新が加えられいる為、初物リスクが伴うことも考慮していただき、安定志向であればDDR5流通開始後でもDDR4ベースのパソコンも当面選択肢にいれておきたい。

価格は思ったよりプレミアにならない(ハズ)なので新しもの好きな自作派の方は出揃った時に是非DDR5ベースでPC構築を検討してみては如何だろうか。

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ライター

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編集部 アーク石井

パソコンSHOPアークにてPC用メモリーバイヤー兼、管理職も勤める。 スキーとギターをこよなく愛す。アキバ歴23年を活かしたショップ視点でのメモリー関連の記事を主に担当している。