注目のNVIDIA新GPU「パスカル」搭載GEFORCE® GTX 10シリーズ情報 - まとめ
NVIDIAの新世代GPUアーキテクチャPascal(パスカル)が発表、GEFORCE® GTX 10シリーズから「GRFORCE GTX 1080」が第一弾として2016年5月27日22:00より発売を開始、続々とレビューも各大手メディアにより順次掲載されその性能の向上に注目されている、また下位モデルの「GTX1070」も2016年6月10日22:00に開始し盛り上がりを見せている話題のNVIDIAのゲーマー向け新グラフィックスカードの情報をアーク編集部でもまとめてみた。
目次
NVIDIA次世代GPU「Pascal」採用GEFORCE 10シリーズ
NVIDIAの新世代GPUアーキテクチャPascal(パスカル)を採用した次世代ゲーミンググラフィックスカード、GEFORCE® GTX 10シリーズ「GEFORCE GTX 1080」が2016年5月27日 22:00より、また「GEFORCE GTX 1070」が6月10日 22:00より販売を開始した。
関連リンク
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従来モデル比最大3倍のパフォーマンスをアピールする脅威の進化系グラフィックスカード
Pascal(パスカル)採用グラフィックスカードは従来モデルと比較して最大で3倍の性能向上、ざっくりとしているがその要素はVR描画能力の向上を指している。
しかしそれ以外の部分でも近年稀に見ぬ性能の向上が見られ、現時点では通常ゲームで約1.4~1.7倍の性能、VRで2.4~3倍あたりの幅で考えておくのが適当かもしれない。
いきなり結論を言うなれば「買い」の製品だがもう少し掘り下げてみたい。
左がGEFORCE GTX1080 Founders Edition、右がGEFORCE GTX1070 Founders Edition、両モデル共に外寸は同サイズ。また従来のGEFORCE9 GTX 980/970シリーズ同様2SLOT占有型で見た目は大きく変わらない。
しかし実装されているテクノロジーは一新され、それに伴いパフォーマンスも大幅に向上している。
次にGTX1080/GTX1070の基本スペックをチェックしてみた。
GEFORCE GTX1080 GTX1070 スペック
2016年5月20日現在までに発表されている PASCAL採用 GEFORCE GTX1080とGTX1070「Founders Edition」のスペックを以下に記載してみた。
MODEL | GEFORCE GTX 1080 | GEFORCE GTX 1070 |
---|---|---|
GPU Engine Specs: | ||
NVIDIA CUDA® Cores | 2560 | 1920 |
Base Clock (MHz) | 1607 | 1506 |
Boost Clock (MHz) | 1733 | 1683 |
Memory Specs: | ||
Memory Speed | 10Gbps | 8Gbps |
Standard Memory Config | 8GB GDDR5X | 8GB GDDR5 |
Memory Interface Width | 256-bit | 256-bit |
Memory Bandwidth (GB/sec) | 320 | 256 |
Technology Support: | ||
Multi-Projection | ○ | ○ |
VR Ready | ○ | ○ |
NVIDIA Ansel | ○ | ○ |
NVIDIA SLI® Ready | SLI HB Bridge Supported | SLI HB Bridge Supported |
NVIDIA G-SYNC™-Ready | ○ | ○ |
NVIDIA GameStream™-Ready | ○ | ○ |
NVIDIA GPU Boost™ | 3.0 | 3.0 |
Microsoft DirectX | 12 API with feature level 12_1 | 12 API with feature level 12_1 |
Vulkan API | ○ | ○ |
OpenGL | 4.5 | 4.5 |
Bus Support | PCIe 3.0 | PCIe 3.0 |
Display Support: | ||
Maximum Digital Resolution | 7680x4320@60Hz | 7680x4320@60Hz |
Display Connectors | DP 1.4, HDMI 2.0b, Dual Link-DVI | DP 1.4, HDMI 2.0b, Dual Link-DVI |
Multi Monitor | ○ | ○ |
HDCP | 2.2 | 2.2 |
Graphics Card Dimensions: | ||
Height | 4.376inch | 4.376inch |
Length | 10.5inch | 10.5inch |
Width | 2-Slot | 2-Slot |
Thermal and Power Specs: | ||
Maximum GPU Temperature (in C) | 94 | 94 |
Graphics Card Power (W) | 180W | 150W |
Recommended System Power (W) | 500W | 500W |
Supplementary Power Connectors | 8-Pin | 8-Pin |
発売予定日 | 2016年5月28日 | 2016年6月10日 |
ここでのポイントは
- 新採用GDDR5Xメモリー(GTX1080のみ)
- パフォーマンスの向上の割に控えめな消費電力
- DisplayPort 1.4とHDMI2.0bをサポート
- 発売日はそれぞれ異なる
GDDR5XはGTX1080のみだが、新規格のグラフィックスカード用メモリーで従来のGDDR5と比較して約1.4倍のパフォーマンスを得られる注目のテクノロジーだ。
また個々では比較しているが発売日が異なるので留意しておきたい。
次に従来モデルとのスペック差を比較してみた。
従来モデルとの比較
GEFORCE GTX 10シリーズ 「Founders Edition」 vs 9シリーズ 「リファレンスモデル」 スペック比較
モデル | GTX 1080 | GTX 980 | GTX 980Ti | GTX 1070 | GTX 970 |
---|---|---|---|---|---|
アーキテクチャ | Pascal | Maxwell | Maxwell | Pascal | Maxwell |
GP104 | GM204 | GM200 | ____ | GM204 | |
製造プロセス | 16nm | 28nm | 28nm | 16nm | 28nm |
GPU ベースクロック(MHz) | 1,607 | 1,126 | 1,000 | 1,506 | 1050 |
GPU ブーストクロック(MHz) | 1,733 | 1,216 | 1,075 | 1,683 | 1178 |
CUDAコア数(基) | 2,560 | 2,048 | 2,816 | 1,920 | 1,664 |
テクスチャユニット(基) | 160 | 128 | 176 | 120 | 104 |
メモリ容量 | 8GB GDDR5X | 4GB GDDR5 | 6GB GDDR5 | 8GB GDDR5 | 4GB GDDR5 |
メモリクロック | 10GHz | 7GHz | 7GHz | 8GHz | 7GHz |
メモリインターフェース(bit)) | 256 | 256 | 384 | 256 | 256 |
ROP数(基) | 64 | 64 | 96 | 64 | 56 |
GCP(TDP) | 180W | 165W | 250W | 150W | 145W |
SLI BRIDGE | SLI HB | SLI | SLI | SLI-HB | SLI |
Display Port Ver | 1.4 | 1.2 | 1.2 | 1.4 | 1.2 |
HDMI Ver | 2.0b | 2.0 | 2.0 | 2.0b | 2.0 |
GPU BOOST | 3.0 | 2.0 | 2.0 | 3.0 | 2.0 |
コネクタ(ピン) | 8 | 6+6 | 8+6 | 8 | 6+6 |
GTX1080はGTX980の後継、GTX1070はGTX970の後継機種となる。
ここでのポイントは
- 新アーキテクチャ「Pascal」が採用されている。
- 上記に伴い製造プロセスが16nmに更新されている。
- 大幅に引き上げられたGPUベースクロック。
- 電力供給コネクタが 8ピン x1に変更されている。
- SLI BRIDGEがアップデート、SLI HB BRIDGEに変更されている。
- リファレンスモデルがFounders Editionになっている。
SLIブリッジの変更についてと、Founders Editionについては下記で少し掘り下げてみているので参考にしてみてほしい。
Founders Editionとは
リファレンス版が今回発売されるGTX1080/GTX1070から「Founders Edition」と名前を変えてきている。 これは名前を変えた訳ではなく今までのリファレンス版より部品のクオリティなどをリッチにした、という事で付加されたあくまでも「Edition」という事らしい、つまりリファレンス版の「Founders Edition」という表現が一番正しい事になる。
つまる所NVIDIA設計の製品である事には変わりなく、今までリファレンス派だったユーザーは安心して「Founders Edition」をチョイスして良い。
ちなみにリファレンスモデルは今まではOCモデルや独自設計タイプのボードがサードパティーからリリースされると、市場から消えていく傾向にあったが今回の「Founders Edition」より継続して発売していく予定との事。
参考記事
「Founders Edition」vs「サードパーティ製」メリット・デメリット
以下にそれぞれの主なメリット、デメリットをまとめてみた。
リファレンスモデル「Founders Edition」
- メリット:純正としての安心感、信頼感
- メリット:互換性の高さ(GPU水冷ユニットなどはリファレンス設計用が多い)
- メリット:発売日直後に入手可能、いち早く使える
- デメリット:サードパーティ製よりも高い基本価格設定
- デメリット:純正だけにOC特性や静音重視などの付加価値要素はない
ただし今回の「Founders Edition」に限ってはOC特性を高める為の部品選定や、静音を意識した搭載ファンなど見た目と異なり注力されている、実際にそれぞれ発売され比較して見なければ判らないが思っている以上に「Founders Edition」は独自系の性能に逼迫する能力を備えているかもしれない。
サードパーティ独自モデル
- メリット:メーカー、モデルによるがリファレンスモデルより割安で購入できる
メリット:価格は上がるが純正と比較し、よりOC耐性を高めたモデルや、静音特化の特別仕様モデルなどが選択できる。
デメリット:互換性の低さ(独自設計の為、市販のGPU水冷ユニットが使用出来ない場合が多い)
- デメリット:全てのサードパーティモデルが高品質、高性能とは限らない(中にはクーラーを変えただけ、など)
- デメリット:発売日がリファレンスモデルよりも遅い
サードパーティモデルは正直な所ピンキリである、リファレンスのボードに自社系クーラーを換装しただけのお手軽サードパーティーモデルから完全独自設計まで多様なラインナップが想定され、その要素もオーバークロック特化、静音重視、またはその両方など一概にこちらがお得です、と言い切れない。
とは言え、Founders Editionも基本的にはサードパーティ各社から販売される為、どちらか決め撃ちする場合は、スタッフなどに確認するか下調べしておく事をオススメしたい、とにかくPCパーツの型番は判りにくい。
またサードパーティ独自モデルは近年、付加価値がてんこ盛りされる傾向があり、その分、単純に売価だけ見た場合Founders Editionを超える製品が割り多くなる可能性も高い、が、それに見合う性能を有しているので結論としては価格、性能のバランスに非常に迷う事になりそうだ。
SLI Bridge高速化、SLI「HB」Bridgeへ
GEFORCE®10シリーズからSLIブリッジコネクタが新しくなる。
新たなコネクターは「SLI HB Bridge」と呼ばれ、デュアルリンク化により帯域幅が拡大、また動作クロックが400MHzから650MHzへと引き上げられている。
ちなみにソケット形状は今まで通りで、既存のSLIブリッジでも2-way SLI構成を構築することは可能だがパフォーマンスはSLIブリッジの性能に依存する為基本的には下がるとの事。
問題点としては、発売日にこの「SLI HB Bridge」の販売が間に合わなそうな事だ、これについては情報が入り次第アップデートしていきたい。
ベンチマーク、レビューなど
ベンチマークや実機レビューなどは有名メディア各社が先行して行っているのでそちらを参考にしてほしい。
主要なレビュー記事のリンクを以下にまとめてみた。
ベンチマーク、レビュー記事(外部サイト)
GTX 1080 関連
GTX 1070 関連
GTX10シリーズ総合
Ansel(アンセル)とは
Ansel(アンセル)はNVIDIAが開発した新しいゲームキャプチャツールのこと。
主な特徴としては
- 対応するゲームの時間を止め、自分の好きな場所(角度、視点)から自由にスクリーンショットが撮撮影できる。
- 画質はCUDAテクノロジーを活用し超高解像度といえる4.5ギガピクセルまでサポートしている。
- 撮った画像は各種アフターエフェクト機能を搭載し、レンズフレアやスケッチ調など各種の加工ができる。
- 360度パノラマ撮影も可能、各種VR機器に対応している。
- AnselはPascal世代だけでなく、GTX 600シリーズ以上であれば対応可能。
などNVIDIA製品が使いたくなる為の販促ツールといっても良いが、最近のPCゲームの描画レベルが既にアートレベルに達している事、またゲームによっては自分だけのキャラクターデザインや衣装などゲーム内に収めておくだけでは勿体無いような画像もあり、そういった素材をより美しく、綺麗に撮影、活用出来るのは嬉しい。
パノラマ撮影の画像は下リンクの公式サイトで実際に見てみることが出来るので体験してみて欲しい。
対応を予定しているゲームタイトルはThe Witcher 3: Wild Hunt、 Fortnite、Paragon、Unreal Tournament、Obduction、The Witness、Lawbreakers、Tom Clancys The Division、No Mans Skyなど.
GPU「パスカル」搭載GEFORCE® GTX 10シリーズまとめ
Pascal(パスカル)採用、NVIDIA GEFORCE GTX10シリーズを箇条書きにまとめると
主な特徴
- NVIDIA製PC用グラフィックスカード
- 新世代GPUアーキテクチャ「Pascal(パスカル)」が採用されている
- Pascalにより従来モデル比でのパフォーマンスが大幅に向上
- 特にVR系の描画性能が物凄い
- 新テクノロジーVRWorks Audioに対応
- 先進の8K出力(7680x4320@60Hz)に対応(DP1.4x2port使用時)
- パフォーマンス向上の割にTDPは抑えられている
- SLI BridgeがSLI HB Bridgeに変更されている
- GPU Boost3はよりチャレンジングなOCが可能、ただしハイリスクハイリターン
- リファレンス版は「Founders Edition」と呼ばれている
- Founders Editionは従来のリファレンス版より高品質部品が使われている
- 新テクノロジーGDDR5X搭載カードは現状GTX1080のみ
主な必要条件
- GTX1080/GTX1070共にPCIe 3.0対応スロットを搭載したPCシステムが必用
- 電源はシングル使用の場合、推奨500W以上が必用
- 電源供給用8ピンコネクタが必用(電源から伸びている)
- カード長、約270mm(GTX980とほぼ同じ)が収まるケース内スペースが必要
- 高さは2SLOT分を使用する、その分の空きが必要
上記からも判るとおりPascalは最近PC業界でも流行っている「再定義」というワードがピッタリのアーキテクチャであり、それを採用するGEFORCE 10シリーズは魅力が満載だ。
そして冒頭で出した結論通りゲーマーだけでなく、VR系、高解像度系、などあらゆるカテゴリーを加味してもPascal採用製品は久々に「買い」な製品である事に変わりない。
しかし第一弾となるGTX1080は予価税込み10万円前後と、決して簡単に出せる価格ではなく、お財布と相談する必要はありそうだ。
今後順当にいけば下位モデルも置き換わっていくと思われるので自分の予算と目的に合わせた「Pascal」搭載カードが出てきた時、是非狙ってみて欲しい。
参考記事:4Gamer.net GTX1000シリーズ特集ページ