PCメモリー価格動向ピックアップレポート - 2015年8月3週目版
2015年8月3週目のパソコン用メモリーの価格変動レポート。パソコンSHOPアークのデータを元に注目情報や注目メモリーをピックアップ。今週はDDR4が微下げ、DDR3はステイもしくは微上げとお盆明けにしては大人しい価格推移となった。 またDDR4の汎用ノート向けメモリーの登場やDRAMeXchangeの価格が久々に反転した事が現在の下げトレンドの終息を意味するものとなるか、今週のデータと市況を元にレポートをまとめてみた。
メモリー相場変動TOPIC
- サンプリング日:2015/8/19
- 前回更新(比較)日:2015/8/12
- サンプリングアイテム数:7429アイテム(前回比±0アイテム)
- 今週の値下がりアイテム数:1095アイテム(前回比+983アイテム)
- 今週の値上げリアイテム数:136アイテム(前回比-8アイテム)
今週のアイテム総合平均値動き幅:-94円(前回平均-10円)
今週の値下げアイテムの平均値下がり金額:-660円(前回平均-1218円)
- 今週の値上げアイテムの平均値上がり金額:+143円(前回平均+52円)
ざっくりいうと値下げアイテムはお盆明けで増加したが、値下げ幅は減少した。
また値下げアイテムの内、下がり幅が大きかったのはDDR4の大容量モデルに限定されたため、見た目の数値以上に落ち着いたマーケットとなった。
DRAMeXchangeではDDR3相場が久々に反転
お盆明けの今週、長期間下げトレンドだったDRAMeXchangeにも変化が出てきた、一部のカテゴリで値上がりを確認した。
ただし反転したタイミングが週末かつ、対象はDDR3のメジャーチップと2GbitDRAMに限定されているのでエンドマーケットに大きく影響する事は今の所、少ないと思われる。
とはいえメモリ市場は連鎖反応を起こしやすいカテゴリでもあるのでDDR3の調達を短期的に、かつより安く入手したいと検討している場合は今回、一つの判断ポイントを迎える事になりそうだ。
また上下変動が細かいDRAM市場なので週明け以降また下げトレンドに戻る可能性も現時点では高い。
[参照元]
DDR4は2800、3000クラスより上のモデルが品薄に
お盆明け以降、G.SkillをはじめCorsair、GeILなどのOCメーカーの上位選別モデルが一部、または全て品薄となってきている。
DDR4 DRAMが品薄という訳ではないのでこの問題は時間と共に解決していくと思われるが、ラインナップによっては当面入手ができないモデルも出てくると想定されるのでDDR4-3000以上の製品の購入を検討している場合、納期などについては事前に確認するなど注意しておく必要がある。
なぜ一部の上位クラスの入手製が悪くなっているかについては以下の要因が考えられる、但しこれはark Tech Newsが独自に調査したものであり要因の全てではない事をご理解の上お読みいただきたい。
選別上位クラスの供給不安定要因
- 選別及び動作テスト、検査に時間がかかる為、需要に追いつけていない。
これはメモリモジュールの大容量化(16GBモジュールの汎用向け投入)によるテストの時間が長くなった事、やSkylake等の最新テスト環境がまだ揃いきっていない事から来る物理的な問題。 テスト環境は時間と共に設備に投入されていると思われるが大容量メモリモジュールのテストにかかるコストは今後の大きな課題となりそうだ。
- Samsung社のDRAMが飛びぬけて安く、かつSKhynix、Micron社のDRAM価格が追い付けてない。
圧倒的シェアを誇るSamsungがDDR4でもプライスリーダーとして現状の相場に見合う価格で供給をしているが、その他の2社は現在のエンド市場価格に追い付けておらず、例外としてCrucialブランドのみがSamsungに対抗している状況となっている、本来メーカー毎に製品の特色が付加価値として成立すればDDR4は現時点において既に下げ止まっているはずが、あまりの価格差にSamsung1社供給体制が加速してしまった。
結果的にDRAM毎のOC耐性の特色(低レーテンシがつよい、レーテンシを維持したままクロックが伸びる)を活かした製品の供給が滞り気味となってしまっている。 ※同じメーカー、製造プロセスによって生産されるDRAMのOC特性はどうしても似たものになってしまう。
ただし一部の大手モジュールメーカーによってはDRAM3社のコスト差を平均化し、安定供給に勤めているケースもあり、全てのOCメモリーのスペックが一元化してしまっているという状況には今の所至ってはいない。
DRAMメーカーそれぞれに開発能力、技術進化には多少の差があるのは仕様のない事ではあり、いち早くより低価格でDDR4メモリが入手できるのも有り難い話ではあるが、こういった状況によるサイドエフェクトが製品のラインナップに影響している事も知っておく必要がありそうだ。
260pinノート向けDDR4(non-ECCタイプ)がラインナップ
今週より次世代ノートPC向けの260pin DDR4 S.O.DIMMの出荷が一部のメーカーより開始された。 これによりDDR4の需要は一段高くなる事が容易に想定される。
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今後の注目ポイント
お盆明け以降に確認した関連要素
- OC系DDR4上位モデルの選別が間に合わなくなってきている(需要増加)
- ノート用DDR4の製造開始(需要増加)
- DRAMeXchangeのDDR3メジャーチップの価格反転(需要増加?)
- DRAMeXchangeのDDR3 2Gbitカテゴリの価格反転(供給不足?)
今週のポイントの上記2つ、DDR4関連については今の所Skylake発売による一時的な需要大幅増によるものと考えられる。
ただしDDR3に関しては前回のポイントで挙げた
DDR3に関してはワールドマーケットで見た場合、PCの採用メモリの大半まだそれであり、Skylakeの発売がDDR3の相場を短期的に大きく押し下げる可能性は少ないと考えられる。
が現実となり、一部のDRAMにおいては下げ止まりを超え反転する結果となった。
最後のDDR3 2Gbit DRAMについては地味ながら現在、最も反転要素が高く、価格変動に注意が必要なカテゴリとなっている。 理由はもちろん需要が上回ってきている事だが、具体的には
- 2Gbit DRAM生産が少ない、または既に終了してしまっている。
- 2Gbit DRAMでないと動作しないDDR3対応のPCが想定以上に存在し、かつ増設需要が継続している。
といったことが要因となり今後も価格は上がっていく可能性が高いとみられている。
ただしこれは増設に制限のあるシステムを使用している場合のみ影響する問題なので比較的最近のPCを持つユーザーには影響しない問題であるがもし増設を考えているPCが4Gbit DRAM非対応の場合、単純にDDR3メモリーの相場だけをみているといざ購入時に思わぬ出費となる可能性があるので先に4Gbit DRAM(4GB片面実装メモリモジュールもしくは8GBメモリモジュール)に対応しているか確認しておく事をオススメしたい。
関連情報
TEXT: Ark Tech & Marketニュース 編集部 石井克朋